二度と行けない、彼の地(かのち)

皆さんは、一度行ったことがあるのに、二度といけなくなってしまった場所があるだろうか。
別に過去の話でもなく、実際に肉体を持って行けた場所の話である。
実は記憶は鮮明で、感触もあり、どうやって行ったかも分かる場所なんだが、未だに行けない場所がある。
それは河原を歩いている時に、少し鬱蒼とした茂みに入った時だった。茂みと行っても小規模な森ぐらいあり、そこを歩いて行くと、突然視界が広がって草原が広がっていた。よくよく考えれば、河原を歩いているのだからいきなり草原が広がっているのも変な話だが、その時はとても自然に感じたものだった。小高い丘があり、一本の大きな楠だろうか、立派な木がそびえていた。そこからの記憶はあまりなく、喜んでその丘に走っていったのは覚えている。
記憶をたどれば、草原は光り輝いていて、空の色は青色ではなく金色だったのを覚えている。雲も光輝いていた。
気がつくと、もとの河原の森に戻っていた。
夢かとも思ったが、感触も全て残っていて、未だに記憶にある。
決して妄想ではないと思う。
もう一度、と思って、同じ道をたどってもそこには辿りつけなかった。
きっと、どんな人にもそんな彼の地があると思う。
小さい頃は行けたのに、今ではもういけない。だが、心に残っている素晴らしい風景。

小生は思う。
きっと神様が招いてくれた地なんだ、と。