孔雀王曲神記12巻について。

少なくとも小生は、この孔雀王という漫画から多大な影響は受けている。
作風とかはともかく(好きだけど)、今回は曲神記12巻で終了についての話をしたいと思う。

やっと出た12巻ですが、内容はここで言わないが、これでもいいと思う。
ええ、という反論は多そうですが、まあ、聞いてください。
11巻が出たときにもちろん購入して読んだわけですが、巻末のあとがきが気になって仕方なかった。

「あと一巻で終わらせろ、と編集が…」

どう考えても無理だろう、どうするつもりなのかな。という考えていたら、やはり時間は長くかかったわけで。当たり前だと思う、あれだけ壮大な話で、かつ、長編である以上、あと一巻でおしまいね、なんて言われても終わらせられるわけもない。これは萩野さんも怒り心頭だろう、と思った。
ここまで書かせておいて、それはないだろう、と思う。
一応、編集に対するフォローとかはあとがきにはあったが、怒りはひしひしと伝わってきた。と、同時に我慢ができない会社、社会に対して情けない、とも思う。
売れなければすぐ切る、という姿勢はどうかと思う。
ヒット作というのは、長い時間かけて作られていくものであって、インスタントで出来上がるものではない。孔雀王も長い歳月と、作者の苦悩と編集の忍耐があってできあがったもので、簡単に編集が投げ出していいわけがない。
それが、なにやらわれのわからない言い訳で、あと一巻で、なんてというのは、失礼にも程があるというものだ。いきなりあと一巻で、しかもバケツの底がぬけた状況で、なんていうのは単なる編集の一方的な言い訳ではないか。

だったら、最初からきちんとこの巻数で終わらせるとか、もっと手前から言うべきだと思う。そうすれば、ストーリー構成も考えるというものだろう。

だが、読んでみて関心した。
あと一巻で完結できる、とあとがきにもあったものの、ちゃんと終わらせれるではないか。あんな広大な物語をよくぞここまでまとめたというものだ。
さすがプロというべき。
アマゾンではかなり酷評があるものの、小生はこの萩野作者を褒め称えたい。
よくぞのこり少ない枚数で、ここまでまとめ上げられたものだ。
大変だったろうし、苦悩もあったろうことも端はしに見受けられる。
確かにゴールはしなかったかもしれない、だが、それがなんなのだ。
終わらせないことに、終わりがあることを初めて証明した漫画だと思う。
この声が作者に届くかどうかはわからないが、実にすばらしいと思う。
そして、小生の人生に良い影響を多大に与えてくれた、この孔雀王はまさに宝物だ。心より感謝すれこそ、非難の思いは微塵もない。

酷評する人は、考えてもほしい。
自分が作者で、愛着ある作品で、ここまで物語りを広げて、果たしてこのようにまとめられるだろうか。

孔雀王の終にふさわしいかもしれない。
終わりがない終りを我々に示してくれた初めての漫画であることは。