新入社員の君たちへ

良きこの時、4月1日を迎えられたことに、まずはおめでとう、と一言を添えたいです。

また、この日が間違いなく、人生の岐路になることでしょう。今はそんな実感はないものだが、嵐の渦中にいるとそれはわからないものでもある。

さて、もう一言添えたいものである。
それは、「ようこそ、この汚れて腐った世界に」。
ひどい言い草でもあるが、そもそもわかりやすい視点からも物申せば、シリアの状況をみればわかるだろう、二千人以上が虐殺されているのに、金の関係で中国とロシアは国連で否決権を行使したのだ、事実、国連は何も出来ずにいる。
これはいかにも遠巻きからの視点のようでもあるが、こういう世界なのだ。金のためなら、人は死んでも構わないという、非常な阿修羅界に足を踏み入れたのである。

そんな馬鹿な、と思いたいであろうが、会社は君が使い物にならずお荷物だと判断をすれば、容赦なく辞職を迫るだろうし、辞職しなければ、あの手この手を使って会社にいることが苦痛の限りというのを尽くそうとするだろう。日本は解雇要件が厳しいから必ず「辞職」で責めて、クビを切ることはしないだろう。さらに辞職したあとは何もない。君は収入の道が絶たれ、何もしなければ餓死するしかないような社会が現実世界なのだ。

君たちは、そんな社会に足を踏み入れたのだ。
さらにもっと言えば、君が思う理想の上司は、絶対にありえない。
優しく指導をし、ちゃんとフォローしてくれ、部下の能力を伸ばし、思いやりがある上司。
そんなものは極々稀である。それに君が当たる確率は、申し訳ないがものすごく低いとしか言い様がない。期待するだけ無駄なのだ。

研修期間というものがあれば、まだ会社は「理想の巣」だろうが、それも終われば君は自分の会社が「魔窟」だとすぐにわかる。
暴君のように振る舞う上司、容赦なく追われる数字と実績、夢を見る暇もないくらい忙殺されるスケジュール、枚挙にいとまがないくらいの災難に感じるだろう。
その中でももっとも厄介なものは、人間関係だと気がつくだろう。
生まれも育ちも全く異なる、しかも世代もまったく異なる人たちが混在しているのだ。
チームワークがいいからといって、社内の人間関係がいいとは限らないものだ。
妙な意地がと権力争い、無気力と変な熱意か渦巻く坩堝なのである。

まず君は会社に入ってから、「見習い」という最も低い職位に置かれるだろう。
そして同病相憐れむと言わんばかりに、同僚を見つけ仲良くなる人が数人できる。
気をつけることだ、その相手が異性だと、間違いなく、君は困った立場に置かれるだろう。
変な噂が立ち、出社するのも苦痛になるかもしれない。
会社というフィールドでは、異性と話すにはものすごく慎重になるべきである。

もし同性ならしばらくはいいだろう、しかし、そのうちそういう付き合いもなくなっていく。なぜなら忙殺されるからだ、まったく余裕はなくなる。やるべきこと、覚えるべきことがてんこ盛りであり、正直な話し、他人にかまっている余裕はなくなるだろう。
しかも、同僚は将来自分のライバルになるかもしれない。
つまり、孤独な戦いの場であるのだ。

まあ、脅すのはここまでにしておいて、実際必要なものは手元に揃っているか確認されたい。

□ ボールペン
□ メモ帳(付箋でもいいが、切り離しができもの)
□ 手帳

上記にいづれも、貸与されたものではなく、私物である。
今持っていないのであれば早急に買い求め、常に自分の手元に持ってなくてはならない。
今の時点で持っていない人は、ほぼ間違いなく先輩や上司に怒られる日は近いだろう。

最初は「はい」といって何でもやってみるという姿勢が大事だ、それができるかどうか考える必要なんてない。考えた所で、そうなのかそもそも経験がないからわからないのだ。だから、経験かないことでやってみろ、と言われたら、素直にはいというのが一番いい。そこからわかる、わからん、できる、できんの判断ができるのだ。

さらに上司は基本的に暴君と思うべきだ。
人間的に、素晴らしいという人になかなか出会えないのと同じように実際に仕事上でも素晴らしい上司というのはなかなか出会えない。
気分でものを言ってくるし、仕事は容赦なく与えられてせっついてくるし、即答はしなければ怒られる。しかしながら、それが普通なのである。
もちろん、罵倒したり、常識的にありえないような暴言を吐いたり行動をとるのは論外ではあるが。

その世界はたしかに阿修羅の世界でもあるが、その反面、すばらしい面もたくさん持ち合わせている。
自分の人生を振り返ってみると、苦しいことが多いが、素晴らしいこともそれなりにあったろう。
仕事もそうなのだ、苦しいことばかりではないが、やはり苦しいことも多い。

我慢我慢でもある。

まだ異性との接し方を書いていないが、それは次回にする。

最後に、新入社員の方にはこの言葉を。

「今よりいい会社はないと思うべし」

転職してもいいことはない、そこをよく肝に命じて、辞めたい時にそれを思うことだ。